VBAによる仮想通貨ビットコイン自動売買入門

アービトラージ(補足)


アービトラージの雰囲気を掴む

前のページで取引所間の価格差を取得するプログラムについて説明しました。

それをもとにしてアービトラージを行う場合、どのように利益を得ることができるのか、VBAからは脱線しますが、web上で雰囲気を簡単に体感できるシミュレータを用意したのでぜひ試してみてください。

実際に取引を行わないシミュレータですので仮想通貨の仮想取引ということになりますが、デモトレードのつもりで利益を積み重ねていく感覚を味わっていただければ幸いです。


シミュレータ

使い方は簡単で、ページを更新すると自動的に主要な5つの取引所におけるビットコインの取引価格をAPIを使って取得して比較し、最適な取引結果とグラフを表示します。

最も安く購入可能な取引所の価格、及び最も高く売却できる取引所の価格から、取引時点で最大の利益を得ることができる取引のみを行うことを想定しています。

取引結果はブラウザに履歴として保存し、通算成績を確認することができます。

ボタンを押すだけで簡単に個々の取引結果や通算成績のtweetを作成することもできます。

※グラフのキャプチャ画像
仮想通貨売買価格比較グラフ
仮想通貨アービトラージシミュレータ


価格差の原因とアービトラージのリスク

アービトラージという取引手法は取引所間に価格差があることを前提としています。

「ビットコイン」というもの自体は同じなのでだいたい同じ価格で取引されていますが、取引所間での現金や仮想通貨の送金には手数料やタイムラグがあります。

したがって、「A取引所で買ったビットコインをB取引所で売る」をそのまま実行した場合、Aで買ったビットコインをBに送っている間に価格が変動してしまい、Aで購入した時点で予定していた売却価格で売れないことがあります。

これでは意味がないので、実際には複数の取引所に予め現金及びビットコインを準備しておく必要があり、現実的にはこの資金を準備するのがアービトラージを始める際の一番の障壁になると考えられます。

2018年2月、Zaifがビットコインを0円で販売してしまうという事件が起きました。

この時、ビットコインの取引価格がZaifで急落したことを覚えている方も多いと思います。

上で述べたように、取引所が違っていても「ビットコイン」自体は同じなので大きな価格差がつくことは不自然に思えるかもしれませんが、取引所単位で信用取引が行われており、急激な値動きが発生した際にはロスカットにより一時的に値動きが加速します。

一取引所の価格が実質的な市場価格と乖離した状態は近いうちに収束すると考えられるため、急落したビットコインを購入しておけば値が戻った時に売却して利益を得ることができます。

ただし急落した方の価格に市場価格が追随するケースもないとは言えず、即座に決済できない状況では判断に迷うかもしれません。

複数の取引所の予め資産を保有しておけば、価格が乖離した瞬間に利益を確定することができるため、大きな利益を確実に得ることができます。

理論上すぐに修正されるはずの価格差が短時間で収束しない一因は、仮想通貨取引の参加者の多くが潤沢な資産を複数の取引所に預けているわけではないためだと考えられます。

逆に言えば、それができれば多くの市場参加者に差をつけることも可能かもしれません。

一方、取引所に何かしら大きな問題が起きた場合、入出金や送金が制限される場合があります。

このような状況で、該当する取引所に資産を保有している人は仮想通貨という価値が不安定な状態ではなく日本円に変えておいたほうが安心できるという心理により、市場価格より安くても売却してしまいがちになり、結果的に市場価格よりも安い価格で安定的に推移するようになると考えられます。

最近では2018年9月にZaifから約70億円の仮想通貨が流出し、Zaifに対する信用不安もあってZaifにおけるビットコインの取引では市場価格と比べてしばらくの間数万円安い状態で取引される状態が続いていました。

アービトラージで大きな利益を得るためには複数の取引所に現金と仮想通貨を準備しておく必要があるのは既に述べたとおりですが、やはり仮想通貨の盗難や消失というリスクが現実的に存在する点は十分に考慮してリスクバランスをコントロールすることが何よりも大事かもしれません。

アービトラージで利益を得ることを狙わない場合でも、普段使っている取引所での取引に固執せず、価格差があるということを認識して立ち回ることでより安定した収益を目指すことができるはずです。

取引所間価格差の取得

仮想通貨アービトラージシミュレータ