ExcelVBAではじめるバイナリーオプション自動取引

2. バイナリーオプションとは

c.バイナリーオプション規制


バイナリーオプション規制について

 バイナリーオプション(個人向け店頭バイナリーオプション取引)は「上がる」か「下がる」かの2択という手軽さから、投資初心者にとって親しみやすい、あるいは安全な金融商品と考えられやすく、そのように紹介されることが多い面がありますが、損失額が限られるとはいえ失敗したときに購入金額を全て失うというのはかなり大きなリスクです。

 株や通貨のように一応は「モノ」を購入し、売却により差額を決済する投資商品ものであれば、「失敗」したと考えられる状況であっても一定の価値は手元に残るわけですが、オプションの場合、「失敗」したときに原則的には何も残りません。

 このようなことから、バイナリーオプションは投資というよりも投機性もしくはギャンブル性が高すぎるのではないかと考える立場もあり、バイナリーオプション規制の必要性が議論されていました。

 確かに数分後のレートの上下を選んでお金を賭け、勝てば倍、負ければ没収という取引形態を見て庶民感覚から「丁半博打」と形容されることに対して、説得力のある反論を展開することは難しいかもしれません。

 こうした議論は2012年に一時活発になり、どのような規制が実施されるのか様々な憶測が流れていました。

 当時のGMOクリック証券の外為オプションを例にすると、オプションを購入してから10分後には5万円(※2013年1月に3万円に引き下げられる前の上限購入金額)が倍になるか消滅するかという商品で、かつ5分おきに一日200回以上の購入機会があることを見れば、著しく射幸心を煽るおそれが全くないとは言えない状況であったことは否定できません。

 その後も議論は進められ、2013年7月3日、金融庁によって金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令が交付されました(2013年8月1日施行、既存取扱業者については一部2013年12月1日から適用)。

 これを受けて2013年7月18日、金融先物取引業協会が個人向け店頭バイナリーオプション取引業務取扱規則並びに同規則に係るガイドラインを制定し、バイナリーオプション規制が実施されることは確定的になりました。

 参考:2013年7月30日のYAHOO!JAPANニュース記事

 規制後のバイナリーオプションが実際どのような形態になるかはまだ明らかではないものの(※いずれ追記)、上記ガイドラインにおいて「極めて短期的なオプション取引はいわゆる賭博との境目がなくなる」、「判定時刻の間隔が2時間未満となるように設定することは、顧客における過度の投機的取引の誘因となる(可能性がある)」とされていることから見て、現時点(2013年7月31日)で主流のバイナリーオプションの方式(外為オプション等)が2013年12月1日以降もそのまま存続することは難しいと考えられます。

 いずれにせよ、こうした規制による取引条件変更も含めてバイナリーオプション取引のリスクと捉え、いつでも柔軟に対応できるように様々な手法の研究をすることは重要だと思います。

 また、そうした研究の積み重ねによる成果を発揮する場であること自体が単なる「丁半博打」とは一線を画しているところであり、バイナリーオプションを指して「ギャンブル」の一言で片付けさせず、市場の健全性を主張する際の根拠となる要素の一つであると考えます。

 結局のところバイナリーオプションに限らずあらゆる投資活動において事実上勝つも負けるも青天井なわけですから、全ての個人が商品の特性を理解した上で責任を持って取り組むことができれば、規制だなんだと騒ぐ必要は無いように思うのですが、理想論かもしれませんね。

 当サイトではバイナリーオプション取引における自動取引の手法について、エクセルVBAを使用したプログラムを中心として解説していますが、取引時点で現実の取引主体である自動取引を実行する人の意思を離れて行うことが可能な自動取引は利便性と効率化を提供する反面、バイナリーオプション取引が持つリスクを更に高める可能性があります

 この機会にバイナリーオプション取引及び自動取引にかかるリスクを今一度よく考え、今後のバイナリーオプション取引の研究に取り組んでいただければ幸いです。

2013年7月