海外におけるバイナリーオプション禁止の動き
国内バイナリーオプションに対しては従来より段階的に規制が行われており、外為オプションをはじめ国内の取扱業者が提供する取引形態は大きく変わってきましたが、結果的にこれらの国内業者に対する規制によってハイローオーストラリアなどの海外業者を通じた取引が盛んに行われる状況になっていました。
ここ数年は仮想通貨取引が流行し、華々しい成功を収めた体験談とともに数多くの盗難・流出事件が発生して世間を賑わわせていたこともあり、一時バイナリーオプションのギャンブル性を問題視しようとしていた国内での声の多くは仮想通貨市場へと移ったように感じます。
とはいえ、それらが指摘していたバイナリーオプションの固有の問題点が改善されたわけではなく、依然として「健全な投資」とは一線を引かれる存在であることは確かです。もっとも仮想通貨取引もいまだ「健全な投資」と言いづらい面は同じですかもしれませんが。
詐欺という大きな問題の影
バイナリーオプションに関する大きな問題としては、取引の仕組み自体に投資家にとってリスク管理が難しいという問題とは別に、実態が怪しい取扱業者が数多く存在してれらを正確に見分けることは困難を極めるという現実があり、実際に詐欺による被害が多発することとなりました。
国内で行われたバイナリーオプションに対する規制により、当初の外為オプションのような形の取引を望む個人は正体の見えづらい海外業者を利用せざるを得なくなったという皮肉的な面もあると思います。
また、取引による不測の損失以外に、バイナリーオプションで勝つためのツールを販売するという詐欺による被害も数多く発生しました。
ブログやTwitter上で「勝率○○%の攻略法」を謳い、豪勢な生活をアピールしている人たちを見かけたことがあると思いますが、そうした成功への憧れに目が曇ってしまい、ありもしない攻略法に騙されてしまった人も多かったようです。
当サイトではVBAを使ってバイナリーオプションの自動取引ツールを作成する方法を紹介してきましたが、実際に自分の力でツール作成に取り組みバックテストを繰り返したりする苦労や少しずつ前進する喜びを知っていればそんなに簡単に攻略法が手に入るわけはないと感じるのではないでしょうか。
投資にせよギャンブルにせよ、大切な資産を運用しようというのですから他人が簡単に勝たせてくれるという話には疑いを持たなければなりません。
全面的な禁止の広がり
こうした背景もあり、個人投資家保護のため2018年にESMA(欧州証券市場監督局)によりEUでのバイナリーオプションが禁止され、翌2019年にはイギリスでもイギリス金融庁(FCA)によりイギリス国内におけるバイナリーオプションが禁止されることになりました。
加えて最近ではオーストラリアでもASIC(オーストラリア証券投資委員会)がバイナリーオプションの禁止する方向に動き、先に述べたハイローオーストラリアも今後いつまで日本国内から利用できるのか不透明な状況になっていました。
そして先日、管理人のところへも以下のメールが届きました。
ハイローオーストラリアが2019年11月30日より非オーストラリア居住者に対する口座解約処理を開始するという通知です。
ハイローオーストラリアのサービス終了に関しては世界の流れからすると当然のことかもしれませんが、一つ心配なことがあります。
当サイトでもハイローオーストラリアでの自動取引サンプルを紹介していましたが、個人的には純粋なバイナリーオプションとして最も理想に近い取引ができる業者であったと思っています。
これが利用できなくなることにより、一斉に新たな取引先をを求めて動きだす利用者をカモにしようという悪質な業者の動きは容易に想像できることである以上、国内において金融庁によるバイナリーオプションへの規制検討も当然考えられますが、それより先にこれらの差し迫った被害を最小限に抑えてるための運動を期待したいところではあります。
国内におけるバイナリーオプションの今後
日本では現在のところバイナリーオプションを禁止しようという流れにまでにはなっていませんが、世界的な潮流を見ると日本国内でもバイナリーオプションの取り扱いが全面禁止となってもおかしくはないところです。
結局のところ、市場が成熟する前に取扱業者は利益追求に走りすぎ、段階的な規制もうまく機能せず、利用者の欲と無知に付け込んだ詐欺業者がとどめを刺したということになるのでしょうか。
確かに個人投資家保護という意味では好ましくない状況が続きすぎたのかもしれませんが、それは仮想通貨も同じですし、証券取引にしても古くから詐欺等の問題自体は存在しますが禁止となることはまず考えられないでしょう。
仮に将来的に日本国内でもバイナリーオプションが禁止の流れになっていくとしてもそれは仕方のないことではありますが、その中で上か下かの2択というシンプルな魅力をギャンブル性の高さと置き換えるのは認識の誤りだと思いますし、気軽に楽しめる投資の形が世の中から無くなってしまうのであれば、寂しいことだなあと感じています。
2019年11月